(Maison MIHARA YASUHIRO )の2018年秋冬コレクションが、2018年3月28日(水)に東京・外苑前の秩父宮ラグビー場にて発表された。20年目の節目、音楽と楽しむエンターテインメントショーメゾン ミハラヤスヒロ 2018年秋冬コレクション - 20年目、陰で支えた服を表舞台に|写真17パリ、ミラノ、ロンドンと場所を変えてコレクションを発表したメゾン ミハラヤスヒロが東京に戻ってきた。ブランドスタートから20年目のシーズン。この記念すべき年に発表したショーには、メゾン ミハラヤスヒロらしさが存分に詰め込まれていた。SOIL “PIMP”SESSIONSによる静かなジャズから始まったランウェイ。だんだんと盛り上がりを見せる音楽の中、遠くからホイッスルの音が近づいてくる。かと思えば、MIHARA YASUHIROのロゴが入った、大きなコンテナトラックが、ランウェイに乗り出してきた。コンテナが大きく開いた中には、今季のを身に着けたモデルたちの姿があった――。すべてが主役、それがメゾン ミハラヤスヒロの服の面白さメゾン ミハラヤスヒロ 2018年秋冬コレクション - 20年目、陰で支えた服を表舞台に|写真2スタートと同時に、アジテーター(社長)がトラックから降り、激しいリズムで観衆を煽り始める。こうしてトラックからランウェイへと降りていくモデルたちを誘導するトップは、一人の作業員。三原康裕本人だ。ランウェイに登場する服も、このリズムと同じパーカッションを楽しむような荒っぽいものが多い。制作過程を想わせる躾縫いのようなの走るジャケット、ねじれたデニムパンツ、デフォルメされたジッパーが施されたジャジーワンピース。通常であれば“ディテール”といえるであろうもの達が、三原の手にかかれば主役級のデザインへと変わる。ハイブリッドの美学は今季も語られるメゾン ミハラヤスヒロ 2018年秋冬コレクション - 20年目、陰で支えた服を表舞台に|写真15ブランドの真骨頂であるは、Tシャツとパーカー、とコートといったドッキングから読み取れる。その大胆さに拍車をかけるかのように、袖の4本ついたデニムジャケット、裏返しになってライニングがあらわになったコートなどが現れる。プレイフルなプリントがさらにデザインを盛り立てるメゾン ミハラヤスヒロ 2018年秋冬コレクション - 20年目、陰で支えた服を表舞台に|写真58それぞれのやシルエットの楽しみだけでなく、今季はプリントがプレイフルなアイディアに溢れている。服を作るときに使うメジャーは、ほぼ正確な長さを再現してシャツの縦縞となっているだけでなく、パーカーのネック部分の紐としても用いられている。おそらくこれまで転写プリントなどを手掛けてきた三原だからこそ成し得る、まるで本物紛いのプリントは、それだけでクリエイティブな要素をワードローブに汲みいれる。これらのもととなったテーマは……メゾン ミハラヤスヒロ 2018年秋冬コレクション - 20年目、陰で支えた服を表舞台に|写真60今季のテーマは「プロトタイプ」。20年間の中で膨大な服を世に送り出してきたメゾン ミハラヤスヒロのブランド史の中で惜しくも登場しえなかったもの達が、ブラッシュアップされ再登場したのだ。ねじれたズも、過剰に袖のあるアウターも、ドッキングされたアウターも……。20周年目にこうして形になった服たちは、これまで表に出た服の延長線上にあり、それらを陰で支えた“縁の下の力持ち”的な服でもあったのだろう。それら20年間の歴史を歩んだ服だけでなく、それらを盛り立てた演出にも称賛の声を贈りたい。最後は三原自身もステージに上がり、大喝采で終わりを告げたショーは、ファッションは楽しいものだと、そう伝えてくれる時間だった。