「がん保険はいらない」は本当?高額療養費制度の落とし穴と加入の判断基準を解説


「日本には充実した公的医療保険があるから、がん保険なんていらない」という意見を耳にすることがあります。確かに、日本は世界的に見ても医療制度が整っており、自己負担を抑える仕組みがしっかりと構築されています。

しかし、実際にがんを経験した方や、長期の療養生活を送る方のリアルな声を聞くと「制度だけではカバーしきれないお金の悩み」が見えてきます。特に「高額療養費制度があるから大丈夫」という考えには、意外な落とし穴が隠されているのをご存知でしょうか。

この記事では、がん保険が不要と言われる理由を深掘りしつつ、公的制度の限界や、あなたが本当に備えるべきポイントをわかりやすく解説します。自分にとって最適な判断ができるよう、一緒にチェックしていきましょう。


なぜ「がん保険はいらない」と言われるのか?

がん保険不要論の根拠として最も多く挙げられるのが、公的医療保険制度の充実です。

  • 高額療養費制度で上限が決まっている: 1ヶ月の医療費が一定額(一般的な年収層で約8万円〜9万円程度)を超えた場合、超過分が払い戻されるため、青天井に治療費を払う必要はありません。

  • 健康保険の給付がある: 会社員であれば傷病手当金があり、休業中の収入減を一定期間カバーできます。

  • 貯蓄で対応できる: 数百万円単位の貯蓄があれば、短期の入院や手術費用は十分に賄えます。

これらの理由から、「確率の低いリスクに毎月の保険料を払うのはもったいない」と考える方が増えています。しかし、ここには「がん治療の多様化」という視点が抜け落ちている可能性があります。


要注意!高額療養費制度の「4つの落とし穴」

高額療養費制度は非常に強力な味方ですが、何でも解決してくれる魔法の杖ではありません。見落としがちなコストが意外と多いのです。

1. 「医療費以外」の出費はすべて全額自己負担

高額療養費制度の対象になるのは、あくまで「保険診療」の費用のみです。以下の費用は制度の対象外となり、全額を自分で支払う必要があります。

  • 差額ベッド代: 個室や少人数部屋を希望した場合の費用。1日あたり数千円〜数万円かかることもあります。

  • 食事代: 入院中の食事代も別途かかります。

  • 先進医療の技術料: 陽子線治療や重粒子線治療など、数百万円単位の費用がかかる治療は全額自己負担です。

2. 入院しない「通院治療」の長期化

最近のがん治療は、入院期間が短縮され、通院で抗がん剤治療や放射線治療を行うケースが主流です。毎月の支払いは高額療養費制度の枠内に収まっても、治療が1年、2年と長引けば、トータルの自己負担額は膨れ上がります。

3. 収入の減少と生活費の維持

治療に専念するために仕事をセーブしたり、退職を余儀なくされたりする場合、収入は大きく減ります。傷病手当金は給与の約3分の2であり、自営業やフリーランスの方にはそもそもその制度がありません。住宅ローンや教育費、日常の生活費は待ってくれないため、家計へのダメージは深刻です。

4. 自由診療や新薬という選択肢

国内で承認されていない抗がん剤や、特定の自由診療を希望する場合、その治療費だけでなく、それと併用する保険診療分まで全額自己負担(混合診療の禁止)になるケースがあります。この場合、数千万円単位の資金が必要になることも珍しくありません。


がん保険が必要な人・いらない人の判断基準

がん保険に入るべきかどうかは、現在の資産状況や働き方、そして「どのような治療を受けたいか」という価値観によって決まります。

【がん保険が不要な可能性が高い人】

  • 潤沢な預貯金がある: 常に500万円〜1,000万円程度の自由な資金があり、治療費に回しても生活が揺るがない方。

  • 公的保障が極めて手厚い: 大企業の健保組合などで「付加給付」があり、自己負担の上限がさらに低く設定されている方。

  • 最低限の治療で納得できる: 先進医療や自由診療は考慮せず、保険診療の範囲内でのみ治療を受けると決めている方。

【がん保険を検討すべき人】

  • 貯蓄を治療費で減らしたくない: 教育資金や老後資金を切り崩したくない方。

  • 自営業・フリーランス: 働けなくなった瞬間に収入が途絶えるリスクがある方。

  • 治療の選択肢を広げたい: 「お金がないからこの治療を諦める」という事態を避けたい方。

  • 子育て世代: 万が一の際、家族の生活水準を守る必要がある方。


後悔しないための「がん保険選び」3つのポイント

もし加入を検討するなら、以下の3点に注目して設計すると、無駄なく効率的な保障が得られます。

  1. 診断給付金(一時金)を重視する

    「がんと診断されたら100万円」といった一時金形式は、使い道が自由です。入院費だけでなく、通院の交通費や生活費の補填、ウィッグ代など、あらゆるニーズに対応できます。

  2. 先進医療特約を付帯する

    月々数百円程度のわずかな保険料で、数百万円かかる先進医療の技術料を通算2,000万円まで保障してくれるものが一般的です。コスパが非常に高いため、必須級の特約と言えます。

  3. 通院保障の充実度を確認する

    現在の治療スタイルに合わせ、入院を伴わない通院のみの抗がん剤治療などもカバーできるタイプを選びましょう。


まとめ:制度を知った上で「安心」を買う

「がん保険はいらない」という意見は、あくまで「公的制度がカバーする範囲内」での話です。しかし、がんという病気は身体的な苦痛だけでなく、経済的な不安を大きく伴います。

高額療養費制度でカバーできる部分を理解した上で、それでも残る「収入減のリスク」や「治療選択肢の制限」をどう埋めるかがポイントです。保険は万が一のとき、自分と家族の人生を守るための「選択肢を増やすツール」です。

まずは現在の貯蓄額と、家族構成、理想とする医療の形を整理してみてください。不安な場合は、特定の保険会社に偏らないFP(ファイナンシャルプランナー)などに相談し、公的保障とのバランスを確認してみるのも良いでしょう。

自分にとっての「最適な備え」を見つけることが、将来の大きな安心につながります。



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