スイスの治安は本当に良い?安全対策と旅行者が注意すべき危険エリア
「スイスは世界で最も安全な国の一つ」というイメージを多くの人が持っています。実際に、スイスはヨーロッパの中でも犯罪率が低く、政治的にも安定しており、初めての海外旅行でも安心して過ごせる国です。
しかし、「日本と同じ感覚」で過ごすのは禁物です。近年、主要都市の駅や空港では、日本人を含む観光客を狙った窃盗被害が多発しており、その発生率は日本の数倍にのぼるというデータもあります。
この記事では、スイス旅行を最高の思い出にするために知っておきたい、最新の治安状況や具体的な防犯対策、注意すべきエリアについて詳しく解説します。
スイスの治安の現在:統計と現実のギャップ
スイス全土において、外務省から特定の危険情報は出されておらず、基本的には安全な国です。しかし、私たちが慣れ親しんでいる日本の治安とは性質が異なります。
1. 軽犯罪は「プロ」の仕業
スイスで最も多い被害は、スリ、置き引き、ひったくりです。これらは「困窮した個人」が行うのではなく、グループで役割分担をした「プロの窃盗集団」によって行われることが一般的です。一度ターゲットにされると、鮮やかな手口で貴重品を奪われてしまいます。
2. 都市部と地方の格差
アルプスの山岳地帯や小さな村々では、今でも鍵をかけずに外出する家があるほど平和な場所もあります。一方で、チューリッヒ、ジュネーブ、ベルンといった大都市、特に交通の要所となる中央駅周辺では、常に警戒が必要です。
特に注意すべき「危険エリア」と「場所」
スイス国内で、観光客が特にトラブルに遭いやすいスポットを具体的に挙げます。
主要都市の中央駅(チューリッヒ、ジュネーブ、ベルンなど)
駅はスリの最大の活動拠点です。
乗り換え時: 荷物が多い移動中は、注意力が散漫になりがちです。背後から近づき、バッグから財布を抜き取る手口が定番です。
券売機周辺: 操作に迷っている隙を狙われたり、暗証番号を盗み見られたりするケースがあります。
空港のロビーと鉄道接続ホーム
ジュネーブ空港やチューリッヒ空港に到着した直後は、最も狙われやすいタイミングです。長旅の疲れや慣れない環境での解放感が、隙を生んでしまいます。
夜間の特定地区
治安が良いスイスでも、夜間に雰囲気が変わるエリアがあります。
ジュネーブ: パキス地区(Paquis)周辺。バーやクラブが多く、深夜には薬物関連や酔客によるトラブルの報告があります。
チューリッヒ: ランゲシュトラーセ(Langstrasse)周辺。夜遊びのスポットとして賑わいますが、一人歩きは避けるのが賢明です。
プロから身を守る!具体的な5つの防犯対策
「自分は大丈夫」という油断を捨て、以下の対策を習慣化しましょう。
バッグは常に「体の前」で保持する
リュックサックを背負うのは、後ろから開けてくださいと言っているようなものです。人混みや公共交通機関では、必ず体の前に抱えるように持ちましょう。
貴重品を「一点」にまとめない
すべての現金、カード、パスポートを一箇所に入れるのは非常に危険です。ホテルのセーフティボックス、身につけるマネーベルト、予備の財布などに分散して管理しましょう。
「親切な声がけ」を疑う
「服に汚れがついているよ」「荷物を運ぶのを手伝うよ」といった声がけは、スリの典型的な手口(気を引く役と盗む役の分担)である可能性が高いです。毅然とした態度で断り、その場を離れましょう。
スマホをテーブルに置かない
カフェのテラス席などで、テーブルの上にスマートフォンを置くのは厳禁です。アンケート用紙や地図を広げて被せ、その下でスマホを盗み去る手口が横行しています。
電車の「網棚」は使わない
列車の網棚に置いたバッグが、停車駅のドアが閉まる直前に持ち去られる事件が発生しています。荷物は常に足元に置くか、自分に固定するようにしましょう。
山岳地帯での「治安」以外の安全対策
スイスの魅力であるアルプス観光では、人間による犯罪よりも「自然の脅威」に対する安全確保が重要です。
天候の急変: 山の上では、さっきまで晴れていたのに一瞬で猛吹雪になることがあります。適切な装備(防寒着、雨具)なしでハイキングに出るのは非常に危険です。
高山病の予防: 標高3,000メートルを超える展望台などでは、急激な気圧の変化により体調を崩すことがあります。無理をせず、こまめな水分補給を心がけましょう。
まとめ:正しい警戒心がスイス旅行を輝かせる
スイスは間違いなく、世界でも有数の治安が良い国です。しかし、それは「何もしなくて安全」という意味ではありません。
「自分は観光客である」という自覚を持ち、基本的な防犯意識を忘れずに行動すれば、これほど美しく、豊かな体験ができる国は他にありません。中世の面影を残す街並みや、息を呑むような大自然の景色を心ゆくまで楽しむために、まずは一歩、防犯意識を高めることから始めてみませんか。